株式会社LIVENT 代表取締役の三上様にインタビュー!
会社の立ち上げから、同社で提供されている「花葬儀」が生まれたきっかけ、独自のサービスを提供する上でのこだわりまでお話を伺いました。
葬儀の事前相談や、アフターフォローも含めて行っておられると思いますが、前述の「本音と建て前をなくす」という目的もあるのでしょうか。
三上:もちろんそうした目的もありますが、何より大切にしているのは「出会ったお客様を幸せにする」ということなんです。
お客様の困りごとをどんどん解決していこうと動いてきた結果、相続や不動産、保険に関するご相談、生前整理に関するサービスなどが次第に出来上がっていきました。
理想としては、故人様がお元気なうちに「どんな最期にします?どんなご葬儀にします?」ということを聞きたいんです。
葬祭業界は20年近くにわたって、低価格化、コンパクト化が進んでいる業界ですが「最期のお別れを、低価格でコンパクトであることに拘るだけでいいんですか?」ということを考えていただくきっかけにしてほしい、というのもライフタイムサポート事業に注力している理由です。
現状では、葬儀のご依頼を頂く方の7割が事前にライフタイムサポート事業でご相談をいただいています。
当社の葬儀は、じっくり時間をかけて作り上げていくスタイルですので、場合によっては3回ほど打ち合わせをすることもあります。
このようなスタンスで対応させていただくことで、高いお金を払ってでも依頼したいと思っていただけるサービスになっていると自負しています。
葬儀の場とはいえ、様々な企画や演出の選択肢がありますから、他にはない唯一無二の葬儀をしたい、という人のための葬儀を作り上げていきたいと考えています。
打ち合わせを何度もするというのは驚きです!
唯一無二の葬儀を作るために、じっくりお話をすることを大切にされているんですね。
三上:そうですね。
ありがたいことに、当社の「花葬儀」を見学したいとおっしゃってくださったり、同じようなサービスを提供したいと目指してくださる会社さんもあるんです。
ところが何度も打ち合わせをしたり、葬儀ごとにお花を市場に仕入れに行ったりと、なかなか真似するのが難しい部分も多いんです。
葬儀ごとにお花を仕入れるんですね。
どういった理由で真似が難しいのでしょうか。
三上:お花というのは市場で10本単位や100本単位で販売されています。
通常、葬儀ごとにお花を仕入れるようなことをすると、本当は1本だけあればいいのに10本買わないといけないので、9本の廃棄が発生してしまうんです。
その点、当社ではほぼ毎日のように新しいお花を仕入れていますが、余ったお花はECサイトで販売するなど別のサービスで活用しているため、廃棄が発生しないんです。
また、ひとつひとつの葬儀のために花のスケッチをして、その人のために市場に仕入れに行くというのはとにかく手間がかかります。
ですから、真っ先にコスト面から考えてカットされてしまう部分なんです。
普通であれば、大きな冷蔵庫にお花を保管していますから、冷蔵庫の中に今何があるのかを考えながら祭壇のお花を決めることになります。
どうしても葬儀社側のそういった都合に、お客様の意向をそれとなく寄せてもらうことが多いんですよね。
それに対して当社の「花葬儀」では、使用しているお花の産地まで説明しています。
お花の値段も、安いものからかなり高いものまで幅広く取り扱っています。
こうした仕入れの関係もあって「花葬儀」を広範囲で提供することは難しいんです。
とにかく「花葬儀」と一言で言ってもその下にはたくさんの仕組みがありますから、それを丸ごと真似るというのはかなり難しいと思います。
女性が多いことでのメリットなどは何か感じますか。
三上:女性を増やそうと意識したことはないのですが、気が付いたら女性社員が多数になっていました。ただ、接客がきめ細やかだったり、物腰の柔らかい方が多かったりと、葬祭業界と女性の親和性は非常に高いと思います。
女性社員が多いこともあって、就業環境の改善にも積極的に取り組めています。以前と比べてかなり良くなったと思います。残業はどうしても発生してしまうのですが、お休みもしっかりとれるようになりました。
具体手にはどのような取り組みをされたのでしょうか。
三上:一つは、事務的な作業とお客様と接したりクリエイティブな仕事を仕分けして、それぞれの担当が専任で行うようにしました。
以前は一人のスタッフが全てを対応していたのですが、今は全てを分担しています。
システムも導入して、スマートフォン1台あればどこでも仕事ができるようにしました。
入社したばかりのスタッフさんは、最初のうちはスマートフォンやパソコンでの入力業務に苦労するのですが、それでも皆さん最終的にはすごく便利だって言ってくれています。
分業やシステム導入により業務が効率化されたことで、就業環境が改善したんですね。
業務効率が向上したことによる恩恵は他にもありましたか。
三上:色々ありますが、研修制度を整えられたことですかね。
電話の受け方からプランナーになる前の業務まで、細かくOJTを活用しながらレクチャーできるようになりました。
これも業務効率が上がった恩恵だと思います。
振り返ってみると、育成にせよ業務にせよ、道なき道を進んできたという印象が強いのですが、最近はやっと色々な事がアウトプットできるくらいに体系化されてきました。
ですから、今後はこのように体系化されたノウハウをアウトプットして、希望されている他の葬儀社さんに花葬儀をお教えする事にも挑戦してみようかなと考えています。
アウトプットと言えば、大学などでも積極的に公演をされておられますね。
三上:ご依頼をいただいて講演をすることは結構ありますね。企業に伺うこともありますし、大学では毎年講演をさせていただいています。
私としては、これまでの経験などをお話することで、少しでもお役に立てるのならいいのかな、と思っています。「花葬儀」が生まれたプロセスは、創造的破壊という意味では良い事例だと思いますから、こういうお話をして喜んでいただけるなら続けていきたいですね。
具体的にはどのようなことをお話しされるのですか。
三上:大学生に向けてお話をするときは、とにかく「自分らしく生きよう」ということですね。私自身、父の会社を継がずに自分で会社を立ち上げて自分らしく生きています。
当社が作る葬儀も、その人らしさということを大切にしています。
これから就職をしたり社会に出ていく大学生が「自分らしい生き方」を考える際に、私のしたお話が何かしらのヒントとしてお役に立てたら嬉しいです。
企業でお話をするときは、イノベーションのお話をしています。
花葬儀が生まれるまでには紆余曲折の物語がありますから、そういったお話するようにしています。
大学で講演をした際の学生さんの反応はどんなものですか。
三上:まず葬儀というと、どんな葬儀も同じだと思っている人がほとんどです。
ですから、当社がこんなサービスをやっているんだよ、とお話をするとまず驚かれますね。
そのお話から当社に入社希望をしてくださる方もおられます。
大学で講演をして感じたことの一つは、葬祭業界を希望する理由が男女で違う傾向があるということです。男性は終活領域にビジネスチャンスを感じている人が多く、女性は人に寄り添ってあげたいという気持ちを強く持っている人が多いです。
もちろん逆のパターンもありますが、それぞれが目標を持って葬祭業界に挑戦しようと考えていただけるのは、とても良いことだと思います。
丁寧な葬儀づくりが貴社の一番の特徴だと思います。
一方で低価格でたくさんの葬儀を請け負う会社も多くありますが、そういった競合他社の存在についてはどのようにお考えですか。
三上:実は競合他社の存在は気にしたことがありません。
同じ業界ではありますが、求めていただいているものが違うので、競合とは考えていないんです。当社の「花葬儀」は良い意味で我が道を行くサービスですから、他社さんとはお客様の層が全く違うんです。
チョコレートで例えるなら、安くてたくさん食べられるチョコレートと、高くてちょっとしか食べられないチョコレートはそもそもニーズが違いますよね。
葬儀を希望されるお客様が100人いたら、そのうちの1人が当社を選んでくださるくらいのイメージなんです。
ただ、業界全体の事を考えると、今後は当社のような高品質かつ高価格な領域の葬儀が増えた方が良いのではないかと思っています。
ウェディングの場合は、2人だけで行うフォトウェディングから、豪華なパーティーウェディングまで、幅広いサービスがありますよね。そんな風に、それぞれが差別化していけたら一番いいのかなと思います。
ありがとうございます。
では最後に、今後の展望やさらに強化していきたい点などがあればお聞かせください。
三上:やはり選んでいただいたお客様を一生幸せにしたいですね!
当社ではライフタイムサポート事業ももちろんですが、お祝いのお花なども取り扱っています。ですから幅広いビジネスでご縁をいただいた方に、当社のファンになっていただきたいと思っています。
お祝いのECサイトでは定期的にクーポンを送ったり、葬儀で出会った方にはお花を通じた様々な事業を行っていることも知っていただきたいです。
選んでいただいた方に何かしたい、交流の深さをどんどん追求していきたいと考えています。
例えるなら、安いチョコレートを食べるか、お高いチョコレートを食べるか、と言った感じでしょうか。
たくさん安く食べたいと思うなら、スーパーでチョコレートを買うのが一番いいですよね。
でもお店が有名な街にあって、ひとつ500円もするけれど、上質なチョコレートというものもあって、そちらが食べたいという人もいるはずです。
当社が目指すのは、その上質なチョコレートの方なんです。
会社の立ち上げから、同社で提供されている「花葬儀」が生まれたきっかけ、独自のサービスを提供する上でのこだわりまでお話を伺いました。
株式会社LIVENT
三上 力央 様
オレゴン大学を卒業後、3年間コンサルティング会社にて勤務。
その後「花葬儀」を提供する株式会社LIVENTを立ち上げる。
三上 力央 様
オレゴン大学を卒業後、3年間コンサルティング会社にて勤務。
その後「花葬儀」を提供する株式会社LIVENTを立ち上げる。
事前相談が7割!ライフタイムサポート事業に注力するわけ
貴社はライフタイムサポート事業にも力を入れておられますね。葬儀の事前相談や、アフターフォローも含めて行っておられると思いますが、前述の「本音と建て前をなくす」という目的もあるのでしょうか。
三上:もちろんそうした目的もありますが、何より大切にしているのは「出会ったお客様を幸せにする」ということなんです。
お客様の困りごとをどんどん解決していこうと動いてきた結果、相続や不動産、保険に関するご相談、生前整理に関するサービスなどが次第に出来上がっていきました。
理想としては、故人様がお元気なうちに「どんな最期にします?どんなご葬儀にします?」ということを聞きたいんです。
葬祭業界は20年近くにわたって、低価格化、コンパクト化が進んでいる業界ですが「最期のお別れを、低価格でコンパクトであることに拘るだけでいいんですか?」ということを考えていただくきっかけにしてほしい、というのもライフタイムサポート事業に注力している理由です。
現状では、葬儀のご依頼を頂く方の7割が事前にライフタイムサポート事業でご相談をいただいています。
当社の葬儀は、じっくり時間をかけて作り上げていくスタイルですので、場合によっては3回ほど打ち合わせをすることもあります。
このようなスタンスで対応させていただくことで、高いお金を払ってでも依頼したいと思っていただけるサービスになっていると自負しています。
葬儀の場とはいえ、様々な企画や演出の選択肢がありますから、他にはない唯一無二の葬儀をしたい、という人のための葬儀を作り上げていきたいと考えています。
打ち合わせを何度もするというのは驚きです!
唯一無二の葬儀を作るために、じっくりお話をすることを大切にされているんですね。
三上:そうですね。
ありがたいことに、当社の「花葬儀」を見学したいとおっしゃってくださったり、同じようなサービスを提供したいと目指してくださる会社さんもあるんです。
ところが何度も打ち合わせをしたり、葬儀ごとにお花を市場に仕入れに行ったりと、なかなか真似するのが難しい部分も多いんです。
葬儀ごとにお花を仕入れるんですね。
どういった理由で真似が難しいのでしょうか。
三上:お花というのは市場で10本単位や100本単位で販売されています。
通常、葬儀ごとにお花を仕入れるようなことをすると、本当は1本だけあればいいのに10本買わないといけないので、9本の廃棄が発生してしまうんです。
その点、当社ではほぼ毎日のように新しいお花を仕入れていますが、余ったお花はECサイトで販売するなど別のサービスで活用しているため、廃棄が発生しないんです。
また、ひとつひとつの葬儀のために花のスケッチをして、その人のために市場に仕入れに行くというのはとにかく手間がかかります。
ですから、真っ先にコスト面から考えてカットされてしまう部分なんです。
普通であれば、大きな冷蔵庫にお花を保管していますから、冷蔵庫の中に今何があるのかを考えながら祭壇のお花を決めることになります。
どうしても葬儀社側のそういった都合に、お客様の意向をそれとなく寄せてもらうことが多いんですよね。
それに対して当社の「花葬儀」では、使用しているお花の産地まで説明しています。
お花の値段も、安いものからかなり高いものまで幅広く取り扱っています。
こうした仕入れの関係もあって「花葬儀」を広範囲で提供することは難しいんです。
とにかく「花葬儀」と一言で言ってもその下にはたくさんの仕組みがありますから、それを丸ごと真似るというのはかなり難しいと思います。
システム導入と仕事の仕分けで働きやすさを向上!
貴社では女性スタッフが多数活躍されていますね。女性が多いことでのメリットなどは何か感じますか。
三上:女性を増やそうと意識したことはないのですが、気が付いたら女性社員が多数になっていました。ただ、接客がきめ細やかだったり、物腰の柔らかい方が多かったりと、葬祭業界と女性の親和性は非常に高いと思います。
女性社員が多いこともあって、就業環境の改善にも積極的に取り組めています。以前と比べてかなり良くなったと思います。残業はどうしても発生してしまうのですが、お休みもしっかりとれるようになりました。
具体手にはどのような取り組みをされたのでしょうか。
三上:一つは、事務的な作業とお客様と接したりクリエイティブな仕事を仕分けして、それぞれの担当が専任で行うようにしました。
以前は一人のスタッフが全てを対応していたのですが、今は全てを分担しています。
システムも導入して、スマートフォン1台あればどこでも仕事ができるようにしました。
入社したばかりのスタッフさんは、最初のうちはスマートフォンやパソコンでの入力業務に苦労するのですが、それでも皆さん最終的にはすごく便利だって言ってくれています。
分業やシステム導入により業務が効率化されたことで、就業環境が改善したんですね。
業務効率が向上したことによる恩恵は他にもありましたか。
三上:色々ありますが、研修制度を整えられたことですかね。
電話の受け方からプランナーになる前の業務まで、細かくOJTを活用しながらレクチャーできるようになりました。
これも業務効率が上がった恩恵だと思います。
振り返ってみると、育成にせよ業務にせよ、道なき道を進んできたという印象が強いのですが、最近はやっと色々な事がアウトプットできるくらいに体系化されてきました。
ですから、今後はこのように体系化されたノウハウをアウトプットして、希望されている他の葬儀社さんに花葬儀をお教えする事にも挑戦してみようかなと考えています。
アウトプットと言えば、大学などでも積極的に公演をされておられますね。
三上:ご依頼をいただいて講演をすることは結構ありますね。企業に伺うこともありますし、大学では毎年講演をさせていただいています。
私としては、これまでの経験などをお話することで、少しでもお役に立てるのならいいのかな、と思っています。「花葬儀」が生まれたプロセスは、創造的破壊という意味では良い事例だと思いますから、こういうお話をして喜んでいただけるなら続けていきたいですね。
具体的にはどのようなことをお話しされるのですか。
三上:大学生に向けてお話をするときは、とにかく「自分らしく生きよう」ということですね。私自身、父の会社を継がずに自分で会社を立ち上げて自分らしく生きています。
当社が作る葬儀も、その人らしさということを大切にしています。
これから就職をしたり社会に出ていく大学生が「自分らしい生き方」を考える際に、私のしたお話が何かしらのヒントとしてお役に立てたら嬉しいです。
企業でお話をするときは、イノベーションのお話をしています。
花葬儀が生まれるまでには紆余曲折の物語がありますから、そういったお話するようにしています。
大学で講演をした際の学生さんの反応はどんなものですか。
三上:まず葬儀というと、どんな葬儀も同じだと思っている人がほとんどです。
ですから、当社がこんなサービスをやっているんだよ、とお話をするとまず驚かれますね。
そのお話から当社に入社希望をしてくださる方もおられます。
大学で講演をして感じたことの一つは、葬祭業界を希望する理由が男女で違う傾向があるということです。男性は終活領域にビジネスチャンスを感じている人が多く、女性は人に寄り添ってあげたいという気持ちを強く持っている人が多いです。
もちろん逆のパターンもありますが、それぞれが目標を持って葬祭業界に挑戦しようと考えていただけるのは、とても良いことだと思います。
丁寧な葬儀づくりが貴社の一番の特徴だと思います。
一方で低価格でたくさんの葬儀を請け負う会社も多くありますが、そういった競合他社の存在についてはどのようにお考えですか。
三上:実は競合他社の存在は気にしたことがありません。
同じ業界ではありますが、求めていただいているものが違うので、競合とは考えていないんです。当社の「花葬儀」は良い意味で我が道を行くサービスですから、他社さんとはお客様の層が全く違うんです。
チョコレートで例えるなら、安くてたくさん食べられるチョコレートと、高くてちょっとしか食べられないチョコレートはそもそもニーズが違いますよね。
葬儀を希望されるお客様が100人いたら、そのうちの1人が当社を選んでくださるくらいのイメージなんです。
ただ、業界全体の事を考えると、今後は当社のような高品質かつ高価格な領域の葬儀が増えた方が良いのではないかと思っています。
ウェディングの場合は、2人だけで行うフォトウェディングから、豪華なパーティーウェディングまで、幅広いサービスがありますよね。そんな風に、それぞれが差別化していけたら一番いいのかなと思います。
ありがとうございます。
では最後に、今後の展望やさらに強化していきたい点などがあればお聞かせください。
三上:やはり選んでいただいたお客様を一生幸せにしたいですね!
当社ではライフタイムサポート事業ももちろんですが、お祝いのお花なども取り扱っています。ですから幅広いビジネスでご縁をいただいた方に、当社のファンになっていただきたいと思っています。
お祝いのECサイトでは定期的にクーポンを送ったり、葬儀で出会った方にはお花を通じた様々な事業を行っていることも知っていただきたいです。
選んでいただいた方に何かしたい、交流の深さをどんどん追求していきたいと考えています。
例えるなら、安いチョコレートを食べるか、お高いチョコレートを食べるか、と言った感じでしょうか。
たくさん安く食べたいと思うなら、スーパーでチョコレートを買うのが一番いいですよね。
でもお店が有名な街にあって、ひとつ500円もするけれど、上質なチョコレートというものもあって、そちらが食べたいという人もいるはずです。
当社が目指すのは、その上質なチョコレートの方なんです。