インタビュー
掲載日:2022年12月19日
今回インタビューにお答えいただいたのは、東京都・神奈川県を中心に海洋散骨サービスを提供されている、株式会社マリンメモリーの菅村様。まだまだマイナーな供養ある海洋散骨とはどんな供養なのか?海洋散骨事業の立ち上げから、散骨業界の現状と今後について貴重で興味深いお話を伺う事ができました。
菅村:サービスは全国で行っていますので、ご相談を頂ければ全国各地どこでも対応はできるのですが、主に東京・横浜・湘南・葉山で散骨のご依頼をいただくことが多いです。
湘南や葉山での散骨を希望される方は、やはり生前海がお好きだった方である場合が多いです。それから葉山や湘南で育った方からのご依頼もあります。
東京と横浜の違いは、単純にお住いの近くかどうかで決まることがほとんどです。
ただ、東京や横浜に比べて葉山や湘南は波が高いため、秋口は台風の影響を受けて予定通りに運航できないことも多いんですよ。
特に今年(2022年)は予定通り運航できないことが本当に多かったですね。9月の土曜、日曜に台風が直撃することが多かったので、順延になっています。
それから冬場も風が強くて大変寒いので、定期航路は東京と横浜のみ行っています。
こだわる方には人気があるけれど、難点もある地域なんですね。
菅村:そうなんです。
例えば、11月に湘南や葉山で散骨のご希望を頂いても、翌年の4月頃までお待ちくださいとお伝えする場合もあるんですよ。
それから、湘南や葉山の近くには観光地もありますから、先ほどもお話ししたように陸から遠い場所を選んだりしています。
そうなんですね。ところで人気のある海域では同業他社の方と会ったり、混み合ったりするようなケースというのはあるのでしょうか。
菅村:船が停泊している桟橋では他社さんにお会いすることはありますが、海の中ではお会いすることはありませんね。
やっぱり船乗り同士のルールの中で動いているということと、状況に応じて船長が場所を決めています。ですから、出発するときは同じ場所でも、同じ場所で散骨を行うということはありません。
菅村:これまでのように、お墓を代々管理していくというやり方が崩れてきて、お墓を持たなくても故人様を供養できるという時代になってきたと感じています。
その流れの中で、今後はお墓を建てるよりも散骨が主流になる時代がやってくるかもしれません。
そのうえで気になるのが、散骨の需要増加に伴って、散骨業者も増えてくるのではないかということです。散骨業者が増えてくると、業者同士でライバル視し合うということが、当然のことながら起こると思います。
そうなってしまうと、せっかく散骨という文化のニーズに対して、私たち散骨業者が上手に時代を掴むことが難しくなってくる可能性があります。
場合によっては価格の戦いをするかもしれません。コストを減らすためにルールを度外視してしまうかもしれないし、他の散骨業者を蹴落として自分だけ勝とうとするかもしれません。
それではせっかく散骨業界がお客様に認知されているのに、自分たちだけで戦ってしまうと全く意味を為さないな、と思っています。
お墓と散骨というそれぞれの文化を、これから東西の横綱にしていくために散骨業者は協力していくことがとても大切だと思っています。
確かにおっしゃる通りですね。
菅村:実は先日参加したフューネラルビジネスフェアで、同業他社さんとご挨拶をさせていただき、意見交換もさせていただきました。
こうしたイベントへの出展に限らず、どんどん散骨業界全体で盛り上がって、散骨をポピュラーなものにしていきたいですね。
将来的には、お墓を買おうかという話になったときに、平等な選択肢の一つとして散骨が考えられるようになれば、それが一番良いですね。
菅村:そうですね、そうなりたいです。
日本って意外と新しいものを根付かせるのが下手なところがあると思います。
みんな決まったところに行きたがりますし、昔からずっとこうだからこう、という考え方をしたり。
これからはそういった流れを変えて、どんどん散骨を主流にしていくことが目標です。
ありがとうございました。
まだまだマイナーな「海洋散骨」というサービスを提供しつつ、これからの散骨業界を見据えた広報活動や、企業間でのルール作りなど興味深いお話ばかりでした。
「これから発展していくからこそ、会社間で連携をしっかりとって協力したい」というお話の通り、今後のイベントでは同業他社さんと大きなブースを作る計画もあるのだとか。
インタビューを行った葬祭ジョブスタッフはまだ30歳手前。私たちが終活を行うころには一般的な供養の形になっているのではと感じました。
株式会社マリンメモリー
取締役:菅村 佳実さん
株式会社 マリンメモリー 2020年 取締役に就任。
以来、「海に囲まれた日本の葬送スタイル、海洋散骨という文化を少しでも多く根付かせたい」という思いから、熱心に情報発信も行われている。
取締役:菅村 佳実さん
株式会社 マリンメモリー 2020年 取締役に就任。
以来、「海に囲まれた日本の葬送スタイル、海洋散骨という文化を少しでも多く根付かせたい」という思いから、熱心に情報発信も行われている。
エリアごとの特徴も?散骨を行う「海」について
ではもう少しサービスについてお伺いしたいのですが、今は主に4つのエリアでサービスを展開されておられますね。それぞれのエリアごとに需要の違いなどはあるのでしょうか?菅村:サービスは全国で行っていますので、ご相談を頂ければ全国各地どこでも対応はできるのですが、主に東京・横浜・湘南・葉山で散骨のご依頼をいただくことが多いです。
湘南や葉山での散骨を希望される方は、やはり生前海がお好きだった方である場合が多いです。それから葉山や湘南で育った方からのご依頼もあります。
東京と横浜の違いは、単純にお住いの近くかどうかで決まることがほとんどです。
ただ、東京や横浜に比べて葉山や湘南は波が高いため、秋口は台風の影響を受けて予定通りに運航できないことも多いんですよ。
特に今年(2022年)は予定通り運航できないことが本当に多かったですね。9月の土曜、日曜に台風が直撃することが多かったので、順延になっています。
それから冬場も風が強くて大変寒いので、定期航路は東京と横浜のみ行っています。
こだわる方には人気があるけれど、難点もある地域なんですね。
菅村:そうなんです。
例えば、11月に湘南や葉山で散骨のご希望を頂いても、翌年の4月頃までお待ちくださいとお伝えする場合もあるんですよ。
それから、湘南や葉山の近くには観光地もありますから、先ほどもお話ししたように陸から遠い場所を選んだりしています。
そうなんですね。ところで人気のある海域では同業他社の方と会ったり、混み合ったりするようなケースというのはあるのでしょうか。
菅村:船が停泊している桟橋では他社さんにお会いすることはありますが、海の中ではお会いすることはありませんね。
やっぱり船乗り同士のルールの中で動いているということと、状況に応じて船長が場所を決めています。ですから、出発するときは同じ場所でも、同じ場所で散骨を行うということはありません。
今後どんどん需要は増える?海洋散骨のこれから
では最後に、今後は散骨の需要が増加するという見立てを伺いました。これから海洋散骨を取り巻く状況をどのように変えていきたいとお考えでしょうか。菅村:これまでのように、お墓を代々管理していくというやり方が崩れてきて、お墓を持たなくても故人様を供養できるという時代になってきたと感じています。
その流れの中で、今後はお墓を建てるよりも散骨が主流になる時代がやってくるかもしれません。
そのうえで気になるのが、散骨の需要増加に伴って、散骨業者も増えてくるのではないかということです。散骨業者が増えてくると、業者同士でライバル視し合うということが、当然のことながら起こると思います。
そうなってしまうと、せっかく散骨という文化のニーズに対して、私たち散骨業者が上手に時代を掴むことが難しくなってくる可能性があります。
場合によっては価格の戦いをするかもしれません。コストを減らすためにルールを度外視してしまうかもしれないし、他の散骨業者を蹴落として自分だけ勝とうとするかもしれません。
それではせっかく散骨業界がお客様に認知されているのに、自分たちだけで戦ってしまうと全く意味を為さないな、と思っています。
お墓と散骨というそれぞれの文化を、これから東西の横綱にしていくために散骨業者は協力していくことがとても大切だと思っています。
確かにおっしゃる通りですね。
菅村:実は先日参加したフューネラルビジネスフェアで、同業他社さんとご挨拶をさせていただき、意見交換もさせていただきました。
こうしたイベントへの出展に限らず、どんどん散骨業界全体で盛り上がって、散骨をポピュラーなものにしていきたいですね。
将来的には、お墓を買おうかという話になったときに、平等な選択肢の一つとして散骨が考えられるようになれば、それが一番良いですね。
菅村:そうですね、そうなりたいです。
日本って意外と新しいものを根付かせるのが下手なところがあると思います。
みんな決まったところに行きたがりますし、昔からずっとこうだからこう、という考え方をしたり。
これからはそういった流れを変えて、どんどん散骨を主流にしていくことが目標です。
ありがとうございました。
編集後記 これからの供養をどうするか?の回答
2022年6月に開催された、フューネラルビジネスフェアでブースにお伺いしたご縁からインタビューが実現しました。まだまだマイナーな「海洋散骨」というサービスを提供しつつ、これからの散骨業界を見据えた広報活動や、企業間でのルール作りなど興味深いお話ばかりでした。
「これから発展していくからこそ、会社間で連携をしっかりとって協力したい」というお話の通り、今後のイベントでは同業他社さんと大きなブースを作る計画もあるのだとか。
インタビューを行った葬祭ジョブスタッフはまだ30歳手前。私たちが終活を行うころには一般的な供養の形になっているのではと感じました。