NK東日本株式会社 / 納棺師:NK東日本の研修会に潜入取材してみた!|葬祭ジョブ

インタビュー

掲載日:2022年7月1日

納棺師ってどんな勉強をしているの?研修会を見学させていただきました。

今回のインタビューでは、4月にNK東日本へ入社した方の研修会を見学させていただきました。入社する人の半数が新卒採用というNK東日本では、納棺師としてのスキルや接遇について半年ほどの時間をかけて研修を行っておられます。お邪魔させていただいた際には、接遇における留意点や、就業規則の説明からスタートしていました。

皆さん真剣に大森さんの講義に耳を傾けていました。今回研修を受けている3名のうち2名は異業種からの転職とのこと。
納棺師にとって、重要なスキルの一つとして挙げられていたコミュニケーション。細かな言葉の表現や、言い回しにも指導が入っているのが印象的でした。異業種から転職された方はもちろん、新卒入社される方も多いため、接遇面の研修は特に気を遣っておられるそうです。

黙々と作業を行うイメージが強い納棺師ですが、故人様を生前のお姿に近づけるためには、ご遺族様からのヒアリングを丁寧に行う必要があるため、コミュニケーションも非常に重要です。

また、ご遺族様のもとへ派遣される形で勤務をするため、移動中や業務中にアクシデントが発生し、時間通りに次の現場へ向かえない場合の情報共有の重要性など、サービスを滞りなく提供するために必要なルールの共有も行われていました。
指導内容を伺っていると、納棺師という職業がサービス業のひとつである、ということを改めて強く感じます。

納棺師さんの必須スキル!お着せ替えはどうやって行う?

経帷子(きょうかたびら※白い左前のお着物)と帯、下着の3点。実際の納棺式ではこの3点以外にも、故人様が生前着ていたお洋服などの場合もあるそう。
座学が終わり10分間の休憩を挟んで実技研修がスタート。まずは故人様へお着せする死装束の広げ方から始まります。この日用意されていたのは経帷子(白い左前のお着物)と帯、下着の3点。まずはこの3つのお着せ替えからスタートするのだそうです。経帷子の広げ方にもお作法とコツがあり、研修生と講師の大森さんでは所作や細かな動作も全く違うことに納棺師という仕事の奥深さを感じます。まずは何度も広げ方、畳み方を練習し、スムーズに納棺の作業を行うことができるよう繰り返しトレーニング。経帷子もただ広げれば良いというわけではなく、細かなお作法があるのだそうです。

それぞれを広げ、スムーズにお着せ替えできるように位置を整えてからお着せ替えがスタート。まずお着せ替えの前には、故人様の腕や手首をゆっくりとストレッチし、固まってしまった関節をほぐします。

最初に経帷子や帯などを広げ、畳む順序を確認。経帷子は白地に細やかな模様が織られた布で作られていて、襟元の淡い紫色が華やかな印象です。お着せ替えがスムーズにできるよう、普通の着物とは異なり色つきの伊達襟が一体型となっています。
次にお体に着せられている服をご遺族様には見えないように脱がせてから、お体を拭き清めます。
お体を拭き終わったら経帷子や帯を着せ付けていくのですが、この時にどうすればスムーズにお体を起こせるのか、お体のどこを抑えると安定するのかなど、細かなスキルについての説明も行われます。
特にお着せ替え中は故人様のお体が揺れないようにすることと、故人様の顔をしっかりと見ながら作業を行うことは重要なんだそう。

どうしてもお着せ替えの作業に没頭してしまうと丁寧さに欠ける所作に見えてしまうため、作業中の視線をどこに向けるのかも大切にされているのだそうです。
そのあと腰に帯を当てて、起こした体を仰向けに戻して両腕もお袖に通し、経帷子の前を閉じてから帯を締めて、一連のお着せ替えが終了します。
NK東日本では、このお着せ替えの作業を全て体にかけた布の下で行います。そうすることで、故人様のお体を直接見ることに抵抗のある方も納棺式に参列していただくことが可能になるのです。

お着せ替えの作業は思いのほか体力仕事!

まずは講師の大森さんが、お着せ替えのデモンストレーション。故人様のお体を起こし、経帷子をかけて…繰り返しお体を寝かせたり、起こしたり。今回の見学ではお着せ替えの前半を繰り返し練習されていましたが、それでもかなりハードな作業です。
研修会を見学させていただき感じたのは、納棺師のお仕事は想像以上の重労働であるということでした。故人様のお体を起こしたり寝かせたりの回数が思いのほか多いことに驚かされます。

もちろんその作業の合間に経帷子にお着せ替えしますし、何よりご遺族様の目の前で行うわけですから、お体を起こしたり寝かせたりすることだけに集中するわけにはいきません。

今回の研修では、研修参加者が交代で故人様役をしていたので、普通の体格の女性ばかりでしたが、故人様のお体の大きさや体重は人それぞれ。
どういった環境での作業になるのか、お体が大きい方なのかなど、現場に行かなければ分からない状況に柔軟に対応することも、納棺師として重要なスキルだと感じました。

一人前の納棺師になると、お体を起こす際のコツや、起こした後どういったポーズであればリラックスした状態に見えるのかといった細やかな配慮までできるようになるそうです。
「今研修を受けている人たちも、慣れてくればどんどんできるようになりますよ」と、大森さんはお話をしてくださいました。

お体が見えないように…住宅事情も解決できる「見せるお着せ替え」

帯の締め方も練習が必要。枕を使って車での移動中にも練習をするんだとか。
実はこの研修会を見学させていただく前は、故人様のお体がご遺族様からは見えないようにどうやってお着せ替えをしているんだろう?と疑問に思っていましたが、実際にお体にかけた布の下ですべてのお着せ替えを行っているのを拝見し、その技術の高さにとても驚きました。

もちろん最初は覆いのない状態から練習をスタートし、徐々にご遺族様の前でもお体を見せることなくお着せ替えできるようになっていきます。 インタビューでも「ご遺族様の前でお着せ替えできるスキルはとても大切」と、大森さんがお話をされていました。

最近はふすまのない家も多く、お着せ替えのために別室を用意できない場合や、逆に別室でのお着せ替えに不安を抱かれるご遺族様もおられるため、このスキルを身に着けておくとそういったケースにも対応できるのだそうです。もちろん故人様のお体を直接見ることに抵抗のある方もいますから、そういう方でも不安なく参加できるというのは大きなアドバンテージだと感じます。

スーツでもワンピースでも!最期のお別れもおしゃれにできる。

今回の見学では経帷子のお着せ替えのみでしたが、ご遺族様の要望によっては故人様が生前身に着けておられたお洋服やお着物を使用することもあり、これから半年間の研修で様々な服へのお着せ替えも練習されるんだとか。実際、インタビューに応じてくださった大森さんの著書「最後にありがとうと言えたなら」には、生前お母さまが気に入っておられたというワンピースを着せたいご遺族様や、スーツ姿でお父さんをお見送りしたい、というご遺族様のお話が登場します。こうした種類にとらわれないお着せ替えが可能なのも、ひとえに納棺師さんの努力のたまものなんですね。

今後はさらにメイクや含み綿などを使用してお顔を整えるための方法など、納棺師として必要なスキルに関して勉強を進め、約半年後の社内試験に向けて研鑽を積まれます。ご遺族様にとって、故人様と共に過ごせる最後の時間である納棺式では、実に様々な状況に応じた臨機応変な対応力も求められます。こうしたスキルを身に着けることで、一つでも多くのご要望に応えることができるのだと感じました。

さいごに

今回の見学では、ご遺体役を体験させていただきました。
経帷子のお着せ替えを体験してみると、とても丁寧に体に触れていただいていることが改めてよくわかります。
納棺式に参加した経験はありませんが、細かな部分まで気を配ったお着せ替えをしていただきお棺に納めていただくのは特別な時間になるだろうと、非常に短い時間の体験ながら改めて強く感じました。
それと同時に「自分が死んだときは、納棺の時はこの服で!」とわがままも叶えてもらえるんだという新たな発見も。

1日に多い時では3件もの納棺式を行うこともあるという納棺師さんは、精神的にも体力的にも非常にタフな仕事であると改めて感じられた貴重な時間となりました。

大森さん、NK東日本の皆様、ありがとうございました!



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