インタビュー
掲載日:2023年12月25日
葬儀会場でひときわ目を引く華やかな生花祭壇ですが、実際どんな人たちがどのように祭壇を作っているのかは意外と知らないもの。
今回は株式会社ティアサービスの生花部門にお邪魔させていただき、貴重なお話を伺いました。
まずはお二人のこれまでの簡単なご経歴を教えてください。 太田:若いころ、当時働いていたお店のすぐ近くのテナントに花屋さんが入ったんです。
その頃は全くお花に興味がありませんでしたが、お店の前を通るときにいつも飾られていたお花のブーケや飾りがとても綺麗で素晴らしかったんです。
それまではお花を見てもなんとも思わなかったのに「お花ってすごい!」とそのとき大きな感動を覚えました。衝撃と言った方が近いかもしれません。
そこから急にお花に興味が湧いてきて、次に転職をするならお花関係の仕事にしようと考えて生花業界に入ることにしました。
後に偶然聞いた話ですが、その花屋さんは日本のフラワーデザインのチャンピオンがオーナーを務めるお店だったそうです。
偶然の出会いから生花を扱う業界に入られたんですね! 太田:本当に偶然だったのですが、人生を変える偶然もあるんだなと思いますね。
そんなきっかけで最初に入社した花屋さんは、一般のお客様に向けた小売りだけでなく、葬儀社さんの下請けとして祭壇も作っていたため、たまたま葬儀のお仕事にも関わることができました。
実際に祭壇作成に携わると「葬儀の祭壇づくりってなかなかやりがいがあるし、結構面白いぞ」と思うようになりました。そこで葬儀業界の生花を専門に扱う会社の求人を探して、以来葬祭業界の生花専門で働いています。
ありがとうございます、倉田さんはいかがですか。 倉田:私はずっと教職へのあこがれがあり、大学卒業後は学校で先生として働いていました。ただ学校の先生はかなりハードな仕事で、長く続けることができませんでした。
その後上京して、しばらくは事務職として働いていました。
そのうちやっぱり、自分のやりたいことや好きなものを活かせる仕事が良いなと考えるようになり、お花屋さんで働く夢があったことを思い出しました。
実は高校時代に華道部で生け花をしていたこともあり、もともとお花が好きでした。
そこで母と一緒に色々な求人を探していたら、偶然当社の求人を見つけて挑戦することにしました。
では倉田さんも偶然求人を見つけて、ということなんですね。 倉田:そうですね、偶然です。
やはり好きなことを仕事にできるというのは、とても魅力的でした。
ただ実際に入社してみると想像と違うことも結構あって、たとえば力仕事がすごく多いことには驚きましたね。生花祭壇を作るためには土台となるスタンドや天板がたくさん必要なのですが、そうした大きな道具を自分たちで運んで設置しなければなりません。
お花を飾った道具もとても大きくて重たいですし、葬儀が終わったら全て片付けるのも私たちの仕事です。ですから、とにかく体力が必要な仕事だというのはびっくりしました。
ただもう入社したからにはやるしかない!と思って、働きながら運動ができると考えるようにしています。(笑) 華やかな祭壇の裏側には、そんな苦労もあるんですね。
この作業は冬でも冷たい水を使用するため大変ですが、祭壇を美しく保つためにも必ず行う必要があります。
水揚げをしている間に、当日対応するお通夜の件数が大体決まります。祭壇のプランについてもこの段階で決まりますから、その情報を元にお作りしていくことになります。
祭壇が完成次第、車に乗せて会館まで運び、会場を飾り付けます。
飾り付けが終わったら一旦会社に戻り、お客様が出される名札付きの供花や花束などを持って、改めて会館に納品するというのが一連の流れです。
大まかな流れとしては以上ですが、次の日は前日に納品した祭壇の片づけをしてからまたお花の用意をして、という繰り返しになります。
ありがとうございます。
一つの祭壇を完成させるのにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。 太田:規模によってまちまちで、早いと10分ほどで出来上がってしまうものもありますし、2時間近くかかるものもあります。
小さなものであれば1人で作って、1人で納品しますが、大きな祭壇になると、2、3人がかりで作って、納品する際もトラック1台に乗りきらない場合もあります。
倉田さんは入社から1年半ほどだと伺いました。
振り返ってみて嬉しかった出来事などはありますか。 倉田:入社3か月くらいで、まだ右も左も分からなかった時期のことです。
飾った祭壇のお花の状態を確認しに葬儀会場まで行ったときに、偶然喪主様と鉢合わせしたことがありました。
その葬儀は喪主様の奥様の葬儀だったのですが、喪主様から「生前妻は花が大好きだったから、こうやってきれいに飾っていただけて妻も喜んでいると思います。僕が妻の代わりに伝えます。この度はありがとうございます。」と仰っていただいたことがありました。
その時は、亡くなった大切な人を想う瞬間に自分が関わっていて、しかも喜んでいただけたと実感できた瞬間で、とても嬉しくなりました。
普段はアンケートでフィードバックをいただくことが多いので、直接声が聞けるとすごく励みになります。
あとは、日々お花を挿していくことがすごく楽しいな、と思いますね。
ゼロから商品を完成させるまでの過程で「このお花をどう挿したら綺麗に見えるかな?」と考えるのが好きなんです。
お花にはそれぞれ個性があって、同じ品種のお花でも色味が違ったり、垂れているもの、枝分かれしているものなど様々です。ですからお花ひとつひとつをきちんと見て、どこに使うべきかを意識しながら作るのはとても楽しいです。
ありがとうございます。
逆に、このお仕事の大変な部分やプレッシャーを感じる点などを教えていただけますか。 倉田:まず一つ目は時間に常に追われることですね。
会館で設営する時間が決まっていますから、その時間内に自分の作っているものを完成させて、トラックで運ばなければなりません。この時間との勝負が大変だと思います。
特に繁忙期にはたくさんの祭壇を納品する必要がありますから、一層タイムスケジュールがシビアになります。
太田:確かに、お花を挿している楽しさと時間に追われている大変さは私も感じます。ただある程度乗り越えられるようになってくると、味わい深い面白さが感じられるから不思議です。
それから、先ほど倉田がお話したように力仕事も多いので、慣れるまでは肉体的にも大変ですね。
あとあまり頻繁ではありませんが、お客様の目の前で土台から祭壇を作ってお花を飾ることもあり、その時はかなり緊張します。
お客様は純粋に興味があってこちらをご覧になっているだけですが、お花や道具を落としたりしないようにと、いつもよりドキドキします。
お客様の見ている前で祭壇を作るのは確かにドキドキしそうですね。
ではこのお仕事のやりがいについても教えていただけますか。
そういった特別な瞬間に携われているということと、やはり感謝の言葉をいただけたときには、とてもやりがいを感じます。
太田様はいかがですか。 太田:色々な葬儀に携わってきましたが、お客様とお会いした時に「本当にありがとう」と声をかけていただくことが今でも一番嬉しいですね。
「ああ、やっていて良かったなあ」と強く思える瞬間です。
葬儀の規模の大小に関係なく1件1件が大事な葬儀ですから、特別な瞬間に毎日自分が関わることができるというのも、やりがいを感じられるポイントですね。
私たちは花を取り扱う黒子のような事業部ではありますが、一番大切なことはお客様に喜んでいただくことです。この点についてはお客様と直接やりとりをする葬祭ディレクターと変わりません。
ですから「ありがとうと言っていただける商品づくりと納品作業は大切にしよう」と従業員のみんなにも伝えています。
こうした思いで日々働くことが、みんなのやりがいにも繋がっていくと考えています。
それから、私は社員の育成なども担当していますので、スタッフが成長していくのを見るのもやりがいの一つになっています。
最初は何もできなかったのに、1年2年と頑張っていくうちに、1人で会館に納品したり、以前は上手に作れなかった祭壇を綺麗に作れているのを見ると嬉しくなります。
経営する側の立場になると、人材が育ってくれるのは何よりも頼もしくてありがたいことです。当社では5年ほど前に生花部門を内製化したのですが、内製化したことが人材がしっかりと成長できる環境を整えることにも繋がったのではないか、と考えています。
たしかに、生花部門を内製化している葬儀社はまだまだ少ないですよね。
内製化に踏み切ったきっかけは何だったのでしょうか。
また、安定してお仕事が来ない花屋さんの場合、人が定着しにくくなってしまい、更に仕事が受けられず……というように、良くない連鎖が続いてしまいがちでした。
働いている人も安心できませんし、依頼をする私たちも「突然、依頼先がなくなってしまうかも」と不安を抱えてしまいます。
それならいっそ当社が事業承継して、生花部門を内製化すればいいんじゃないか、そうすれば安心して働ける環境にも繋がるんじゃないかと考えたことが始まりだったそうです。
その後「太田さんも一緒にやろう」と誘っていただいて、もう5、6年くらい経ちました。
たしかに、花屋さんは比較的小さなお店が多いイメージがありますね。 太田:そうですね。
内製化することで商品のクオリティを一層安定させられる可能性もありますし、なにより就業環境が整ったおかげで、みんな安心して働けるようになったと思います。
安心して働けるようになると、もっとできることを増やそうと成長を目指す余裕も生まれたり、様々なバックボーンを持ったスタッフが在籍してくれるようになりました。
ちなみに今はどのような方が何人くらい働かれているのでしょうか。 太田:今は生花部門全体で30人を超えていて、外国籍の方やパートタイムで働く人、業界経験の有無まで様々です。
それぞれ得意分野も異なりますので、適材適所で進めていけるのも当社の強みに繋がっていると思います。
ありがとうございます。
では最後に、これから生花祭壇作成のお仕事に挑戦したい方に向けて一言いただけますか。 倉田:花形のお仕事だと思われがちですが、かなり体力も必要ですし地道で目立たない作業があってこそのお仕事です。ですから、とにかく気合いが大切だと思いますね。
とても大変ですが「ありがとう」と言っていただけたり、深い感謝をしていただけることもあるやりがいのあるお仕事です。興味をお持ちの方にはぜひ挑戦していただきたいです。
太田:時間に追われたり力仕事があったりと、想像よりもハードな仕事であることは確かです。ただ、日々お花と向き合う楽しさにやみつきになってしまう人もいると思います。
生花祭壇の仕事に限った話ではありませんが、技術を身につけてハードルを乗り越えた先にある味わい深さをぜひ経験してほしいです。
ありがとうございました。
株式会社ティアサービス
取締役 太田一久さん
販売業、生花店勤務を経て葬祭業界へ。
株式会社ティアサービス生花部門立ち上げ時から勤務。
取締役 太田一久さん
販売業、生花店勤務を経て葬祭業界へ。
株式会社ティアサービス生花部門立ち上げ時から勤務。
株式会社ティアサービス
倉田梨奈さん
教職や事務職を経験後、株式会社ティアサービスへ入社。
高校時代華道の経験があったこと、お花が好きだったことが入社の決め手。
倉田梨奈さん
教職や事務職を経験後、株式会社ティアサービスへ入社。
高校時代華道の経験があったこと、お花が好きだったことが入社の決め手。
偶然の出会いからお花の仕事へ!二人が生花祭壇に携わるまで
本日はどうぞよろしくお願いします。まずはお二人のこれまでの簡単なご経歴を教えてください。 太田:若いころ、当時働いていたお店のすぐ近くのテナントに花屋さんが入ったんです。
その頃は全くお花に興味がありませんでしたが、お店の前を通るときにいつも飾られていたお花のブーケや飾りがとても綺麗で素晴らしかったんです。
それまではお花を見てもなんとも思わなかったのに「お花ってすごい!」とそのとき大きな感動を覚えました。衝撃と言った方が近いかもしれません。
そこから急にお花に興味が湧いてきて、次に転職をするならお花関係の仕事にしようと考えて生花業界に入ることにしました。
後に偶然聞いた話ですが、その花屋さんは日本のフラワーデザインのチャンピオンがオーナーを務めるお店だったそうです。
偶然の出会いから生花を扱う業界に入られたんですね! 太田:本当に偶然だったのですが、人生を変える偶然もあるんだなと思いますね。
そんなきっかけで最初に入社した花屋さんは、一般のお客様に向けた小売りだけでなく、葬儀社さんの下請けとして祭壇も作っていたため、たまたま葬儀のお仕事にも関わることができました。
実際に祭壇作成に携わると「葬儀の祭壇づくりってなかなかやりがいがあるし、結構面白いぞ」と思うようになりました。そこで葬儀業界の生花を専門に扱う会社の求人を探して、以来葬祭業界の生花専門で働いています。
ありがとうございます、倉田さんはいかがですか。 倉田:私はずっと教職へのあこがれがあり、大学卒業後は学校で先生として働いていました。ただ学校の先生はかなりハードな仕事で、長く続けることができませんでした。
その後上京して、しばらくは事務職として働いていました。
そのうちやっぱり、自分のやりたいことや好きなものを活かせる仕事が良いなと考えるようになり、お花屋さんで働く夢があったことを思い出しました。
実は高校時代に華道部で生け花をしていたこともあり、もともとお花が好きでした。
そこで母と一緒に色々な求人を探していたら、偶然当社の求人を見つけて挑戦することにしました。
では倉田さんも偶然求人を見つけて、ということなんですね。 倉田:そうですね、偶然です。
やはり好きなことを仕事にできるというのは、とても魅力的でした。
ただ実際に入社してみると想像と違うことも結構あって、たとえば力仕事がすごく多いことには驚きましたね。生花祭壇を作るためには土台となるスタンドや天板がたくさん必要なのですが、そうした大きな道具を自分たちで運んで設置しなければなりません。
お花を飾った道具もとても大きくて重たいですし、葬儀が終わったら全て片付けるのも私たちの仕事です。ですから、とにかく体力が必要な仕事だというのはびっくりしました。
ただもう入社したからにはやるしかない!と思って、働きながら運動ができると考えるようにしています。(笑) 華やかな祭壇の裏側には、そんな苦労もあるんですね。
意外とハード?生花部門のお仕事とは
案内していただいたお花用の冷蔵庫は、部屋全体が冷やされている。祭壇に使用するお花は品種も色合いも様々。
では続いて生花部門のお仕事について、1日の流れを教えてください。
太田:まず朝に市場からお花が届きます。段ボールに入れられた状態なので、まずは水揚げをして花が長くきれいに保たれるようにします。この作業は冬でも冷たい水を使用するため大変ですが、祭壇を美しく保つためにも必ず行う必要があります。
水揚げをしている間に、当日対応するお通夜の件数が大体決まります。祭壇のプランについてもこの段階で決まりますから、その情報を元にお作りしていくことになります。
祭壇が完成次第、車に乗せて会館まで運び、会場を飾り付けます。
飾り付けが終わったら一旦会社に戻り、お客様が出される名札付きの供花や花束などを持って、改めて会館に納品するというのが一連の流れです。
大まかな流れとしては以上ですが、次の日は前日に納品した祭壇の片づけをしてからまたお花の用意をして、という繰り返しになります。
ありがとうございます。
一つの祭壇を完成させるのにどれくらいの時間がかかるのでしょうか。 太田:規模によってまちまちで、早いと10分ほどで出来上がってしまうものもありますし、2時間近くかかるものもあります。
小さなものであれば1人で作って、1人で納品しますが、大きな祭壇になると、2、3人がかりで作って、納品する際もトラック1台に乗りきらない場合もあります。
倉田さんは入社から1年半ほどだと伺いました。
振り返ってみて嬉しかった出来事などはありますか。 倉田:入社3か月くらいで、まだ右も左も分からなかった時期のことです。
飾った祭壇のお花の状態を確認しに葬儀会場まで行ったときに、偶然喪主様と鉢合わせしたことがありました。
その葬儀は喪主様の奥様の葬儀だったのですが、喪主様から「生前妻は花が大好きだったから、こうやってきれいに飾っていただけて妻も喜んでいると思います。僕が妻の代わりに伝えます。この度はありがとうございます。」と仰っていただいたことがありました。
その時は、亡くなった大切な人を想う瞬間に自分が関わっていて、しかも喜んでいただけたと実感できた瞬間で、とても嬉しくなりました。
普段はアンケートでフィードバックをいただくことが多いので、直接声が聞けるとすごく励みになります。
あとは、日々お花を挿していくことがすごく楽しいな、と思いますね。
ゼロから商品を完成させるまでの過程で「このお花をどう挿したら綺麗に見えるかな?」と考えるのが好きなんです。
お花にはそれぞれ個性があって、同じ品種のお花でも色味が違ったり、垂れているもの、枝分かれしているものなど様々です。ですからお花ひとつひとつをきちんと見て、どこに使うべきかを意識しながら作るのはとても楽しいです。
ありがとうございます。
逆に、このお仕事の大変な部分やプレッシャーを感じる点などを教えていただけますか。 倉田:まず一つ目は時間に常に追われることですね。
会館で設営する時間が決まっていますから、その時間内に自分の作っているものを完成させて、トラックで運ばなければなりません。この時間との勝負が大変だと思います。
特に繁忙期にはたくさんの祭壇を納品する必要がありますから、一層タイムスケジュールがシビアになります。
太田:確かに、お花を挿している楽しさと時間に追われている大変さは私も感じます。ただある程度乗り越えられるようになってくると、味わい深い面白さが感じられるから不思議です。
それから、先ほど倉田がお話したように力仕事も多いので、慣れるまでは肉体的にも大変ですね。
あとあまり頻繁ではありませんが、お客様の目の前で土台から祭壇を作ってお花を飾ることもあり、その時はかなり緊張します。
お客様は純粋に興味があってこちらをご覧になっているだけですが、お花や道具を落としたりしないようにと、いつもよりドキドキします。
お客様の見ている前で祭壇を作るのは確かにドキドキしそうですね。
ではこのお仕事のやりがいについても教えていただけますか。
コツコツ作ることと時間までに仕上げることを両立させるのが、生花祭壇作成のお仕事で大変なことのひとつだそう。
倉田:私たちは、ご遺族や故人様にとっては一生に一回だけの、やり直しのきかない特別な商品を自分の手で作り、それをお届けするという仕事をしています。そういった特別な瞬間に携われているということと、やはり感謝の言葉をいただけたときには、とてもやりがいを感じます。
太田様はいかがですか。 太田:色々な葬儀に携わってきましたが、お客様とお会いした時に「本当にありがとう」と声をかけていただくことが今でも一番嬉しいですね。
「ああ、やっていて良かったなあ」と強く思える瞬間です。
葬儀の規模の大小に関係なく1件1件が大事な葬儀ですから、特別な瞬間に毎日自分が関わることができるというのも、やりがいを感じられるポイントですね。
私たちは花を取り扱う黒子のような事業部ではありますが、一番大切なことはお客様に喜んでいただくことです。この点についてはお客様と直接やりとりをする葬祭ディレクターと変わりません。
ですから「ありがとうと言っていただける商品づくりと納品作業は大切にしよう」と従業員のみんなにも伝えています。
こうした思いで日々働くことが、みんなのやりがいにも繋がっていくと考えています。
それから、私は社員の育成なども担当していますので、スタッフが成長していくのを見るのもやりがいの一つになっています。
最初は何もできなかったのに、1年2年と頑張っていくうちに、1人で会館に納品したり、以前は上手に作れなかった祭壇を綺麗に作れているのを見ると嬉しくなります。
経営する側の立場になると、人材が育ってくれるのは何よりも頼もしくてありがたいことです。当社では5年ほど前に生花部門を内製化したのですが、内製化したことが人材がしっかりと成長できる環境を整えることにも繋がったのではないか、と考えています。
たしかに、生花部門を内製化している葬儀社はまだまだ少ないですよね。
内製化に踏み切ったきっかけは何だったのでしょうか。
安定した環境で働けることが成長に繋がる!
太田:当社ではお取引をしている花屋さんが何社かあったのですが、事業承継がうまくいかず廃業されるところがあったそうです。また、安定してお仕事が来ない花屋さんの場合、人が定着しにくくなってしまい、更に仕事が受けられず……というように、良くない連鎖が続いてしまいがちでした。
働いている人も安心できませんし、依頼をする私たちも「突然、依頼先がなくなってしまうかも」と不安を抱えてしまいます。
それならいっそ当社が事業承継して、生花部門を内製化すればいいんじゃないか、そうすれば安心して働ける環境にも繋がるんじゃないかと考えたことが始まりだったそうです。
その後「太田さんも一緒にやろう」と誘っていただいて、もう5、6年くらい経ちました。
たしかに、花屋さんは比較的小さなお店が多いイメージがありますね。 太田:そうですね。
内製化することで商品のクオリティを一層安定させられる可能性もありますし、なにより就業環境が整ったおかげで、みんな安心して働けるようになったと思います。
安心して働けるようになると、もっとできることを増やそうと成長を目指す余裕も生まれたり、様々なバックボーンを持ったスタッフが在籍してくれるようになりました。
ちなみに今はどのような方が何人くらい働かれているのでしょうか。 太田:今は生花部門全体で30人を超えていて、外国籍の方やパートタイムで働く人、業界経験の有無まで様々です。
それぞれ得意分野も異なりますので、適材適所で進めていけるのも当社の強みに繋がっていると思います。
ありがとうございます。
では最後に、これから生花祭壇作成のお仕事に挑戦したい方に向けて一言いただけますか。 倉田:花形のお仕事だと思われがちですが、かなり体力も必要ですし地道で目立たない作業があってこそのお仕事です。ですから、とにかく気合いが大切だと思いますね。
とても大変ですが「ありがとう」と言っていただけたり、深い感謝をしていただけることもあるやりがいのあるお仕事です。興味をお持ちの方にはぜひ挑戦していただきたいです。
太田:時間に追われたり力仕事があったりと、想像よりもハードな仕事であることは確かです。ただ、日々お花と向き合う楽しさにやみつきになってしまう人もいると思います。
生花祭壇の仕事に限った話ではありませんが、技術を身につけてハードルを乗り越えた先にある味わい深さをぜひ経験してほしいです。
ありがとうございました。