葬儀屋はやめとけと言われる原因6つ・仕事はきつい？転職のメリットとは 。葬祭ディレクター経験者が詳しく解説します。

葬儀屋への就職・転職を考えたときに「やめとけ」という意見を目にしたことはありませんか？社会的意義があり、人から感謝される仕事である葬祭業で、なぜ「やめとけ」という声がよく聞かれるのでしょうか。

そこで、「葬儀屋はやめとけ」と言われる原因について、また、「それでも葬儀屋で働くことをおすすめしたい！」仕事の魅力について、元葬祭ディレクターであり葬祭業界専門の転職エージェント「葬祭ジョブ」のキャリアアドバイザーである筆者が解説します。
葬儀屋経験者の声、葬儀屋への転職者の声、年収データなど…「葬祭ジョブ」でしか見ることが出来ない情報も紹介します。

「葬儀屋はやめとけ」と言われる代表的な理由は、以下の６つが考えられます。葬儀屋への就職・転職を考えても、ネガティブな意見が出ると不安になりますよね。
でもご安心ください。実際に葬儀屋で勤務していた私の立場からの意見と、葬祭ジョブに登録していただいた現役の葬儀屋さんたちの声をご紹介します！

・労働時間が不規則である ・精神的な負担がある ・重労働な場面がある ・ノルマが過酷である ・職業に悪い印象がある ・高収入ではないのが気になる

葬儀屋は基本的に24時間営業であり、労働時間が不規則になることが多いです。人はいつ亡くなるか予想できないため、深夜でも病院や警察から要請があれば、ご遺体の搬送や管理などの対応を求められます。そのため会社に泊まる「宿直」や自宅で電話対応をする「自宅待機」など、夜勤の勤務形態が必要な葬儀屋があります。

また、お通夜・葬儀の時間により勤務時間が異なるため、開式時刻が早いと早朝から出勤が求められることもあります。お通夜は18時以降からの開式が多いため、残業が発生しやすい勤務形態です。


昨今の働き方改革によって、実は葬祭業界では労働環境改善が進んでいます！例えば
●夜勤専門の部署やセレモニー専門の部署など業務によって部署を分けている企業
●夜間対応はコールセンター業務代行会社や搬送専門会社など外部の協力会社に委託している企業
など、社員の負担も減り、ご遺族様も安心して葬儀を依頼できる環境を実現している葬儀屋が主流となっています。

また、所定労働時間を実直に守る企業も多く、「お通夜で3時間残業した代わりに別の日は遅く出勤する」などフレキシブルに勤務時間を調整できる企業も増えています。
葬祭ジョブを利用して葬儀社から葬儀社に転職した求職者の方々からも「会社に泊まることがなくなってプライベートの時間が増えた」「夜間は夜間専門のスタッフと分業するため、安心して眠れるようになった」と、負担の少ない働き方を実現した方も多くいらっしゃいます。
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葬儀屋はご遺体を目にする機会が多いため、精神的な負担が大きい仕事と言われることがあります。交通事故や水死など亡くなった原因によっては、ご遺体はきれいな状態とはいえず、ダメージを負っていたり臭いがきつかったりすることもあります。


基本的に人は亡くなられた直後、すぐに医者や看護師の処置（エンゼルケア）を受けられるため体液漏れなどはほとんどありません。その後葬儀屋がドライアイスなどの処置を進めるため、正しく処置されたご遺体は腐敗などもありません。

私の葬祭ディレクターとしての実体験からも「亡くなられた直後の故人様は生きている人間が眠られているのと変わらない」と考えています。実際に、ご遺族様も故人様に対して「眠っているようだね、眠っている時と変わらないね」と忌避感なく接される方々が多数を占めていると現場で働いていて実感していました。 「故人様の尊厳を大切にすること」「適切なご遺体処置の知識を持つこと」さえあれば、ご遺体の対応に精神的負担を感じることは少ないはずです。

私が葬儀業界で勤務していた約6年間、事故で亡くなられたなどの理由で痛ましいご状況の故人様は1年に1人いるかどうかでした。 厚生労働省の令和４年死因統計を見ても分かる通り、第１位は悪性新生物（がん）、第２位は心疾患、第３位は老衰…と病院や家族に看取られることが多い死因が大多数を占めており、「不慮の事故」の死因は全体の2.8％に過ぎません。亡くなられた直後に適切に処置を受けられた故人様がほとんどなのです。

※参考：厚生労働省 | 令和４年(2022) 人口動態統計月報年計(概数）の概況
また、事故等で亡くなられ警察が介入することになった故人様の大多数は、「警察提携の葬儀屋」が対応することが多いため、一般的な葬儀屋に勤務していれば痛ましい状況で亡くなられた故人様を対応した経験がないという葬祭ディレクターの方も多くいます。逆に、「どのような状況の故人様でも柔軟に対応できる」「様々なケースの葬儀を経験して経験を積みたい」といった方は葬祭ジョブを利用して「警察提携の葬儀屋」に就職され、高収入を実現したケースも多くあります。

どのような状況であっても故人様ひとりひとり、ご遺族様ひとりひとりに思いやりと気遣いを持って接することができる方であれば、そのホスピタリティを活かして葬儀屋で活躍することができます。

葬儀屋はご遺体の搬送や祭壇の組み立てなど、肉体労働が多い職業です。 葬祭ジョブでも、「葬儀屋に興味はあるけど体力が持つか心配」と、特に女性やこれまでデスクワークが中心だった方々からご相談をいただくことがあります。


「葬儀屋」と一口に言っても様々な職種があり、肉体労働の少ないセレモニースタッフ職や打ち合わせメインの営業職など、体力に自信のない人でも活躍できる業界です。
実際に葬祭ジョブでも「肉体労働の多いディレクター職からセレモニースタッフ職へ転職したことで体力的不安を解消できた」「搬送から葬儀施行まで一貫担当制の会社から、葬儀の打ち合わせメインの分業制の会社に転職して余裕を持って働けるようになった」という転職成功者の声をいただいています。

大柄な男性だと80kgほどもあるご遺体を1人で運ぶ…なんてことはもちろんありませんよね。何よりも大切な故人様を丁寧に扱うために、複数人でストレッチャーなどを使い負担なく安全に運ぶことができるように万全の対策が取られています。

「葬儀屋は肉体労働が多い」というイメージを持たれがちですが、といっても一日中ご遺体を搬送したり祭壇を運んだりするわけではありません。 一日の業務に占める搬送業務や設営業務は実はとっても短時間！メリハリをつけて身体を動かすことが出来るため、むしろ肉体的負担は少なく健康的に体力をつけることができます。
葬儀屋で働くうえでは、ご遺族様との打ち合わせやお葬式の接客、見積もり業務など「頭脳労働」も主な業務です。

実際に男性に比べて体力の少ない女性である私も、葬儀屋で長年苦痛なく働けていました。女性の採用も活発な葬祭業界では、女性比率の高い葬儀屋もたくさんあります。体力に不安を持つことなく働けるお仕事です。

葬儀屋は、ご遺族様に見積もりをご提示し葬儀料金を決める業務があるため、「営業ノルマがある仕事である」「見積もりを高く取って不当に儲けようとしているのでは？」と言われることがあります。
また、葬儀屋のなかでも冠婚葬祭互助会という形態をとっている企業では、「生前に葬儀代金を積み立てましょう」という個人営業のお仕事があり、毎月のノルマを果たすためにテレアポや飛び込み営業を課されることがあります。

実際に葬祭ジョブでも「葬儀の仕事がしたくて葬儀屋に入社したけど実際は互助会営業の仕事でノルマがキツかったため退職してしまった…」「ノルマの過酷な会社だと『人の死』を使って儲けようとしている印象があって受け入れられない…」というご相談をいただくことがあります。


葬儀屋のなかでも「葬祭ディレクター」というお仕事では、ご遺族様と葬儀について打ち合わせし葬儀料金を見積もる重要な役割があります。この「見積もり業務」でノルマがあるというのは大きな誤解なんです。不要な葬儀のオプションを勧めて葬儀料金を高く見積もったところで、ご遺族様の顧客満足度は下がってしまい、会社の悪い評判にもつながりますよね。競争化の激しい葬儀業界では、何よりも「顧客満足度」が優先です。ご遺族様のご要望をしっかりと聞き、「必要なものを必要なだけご提案する」ことが葬儀屋に求められている役割です。

もちろん、「葬祭ジョブ」で扱っている葬儀屋のお仕事でも、「売り上げノルマのない企業」が圧倒的多数です。ノルマはなくても見積金額に応じてインセンティブで稼げる企業もあるなど「顧客満足度を大切にした上で稼ぎたい！」という転職者の望みを叶える企業がたくさんあります。

葬儀屋は「人の死」や「ご遺体」を扱うお仕事でもあるため、悪い印象を抱かれる可能性もあります。神道などの宗教によっては「死＝穢れ」という考え方もあるため、良い印象を持っていない人もいるためです。
実際に、葬祭業に興味を持ち葬祭ジョブを通して就職活動をされる方の中でも、家族から以下のように「葬儀屋はやめとけ」と言われ葬儀屋を諦めた方もいらっしゃいます。
●日常的にご遺体に触れた手で子供を抱いて欲しくない
●縁起の悪さ、死の気配をまとうのが嫌
●人の死でお金を稼ぐのは嫌
●遺族の悲しい気持ちに影響されてしまいそう

また、葬儀屋の物語として有名でアカデミー賞外国語映画賞を受賞した2008年の映画「おくりびと」をご覧になった方も多いのではないでしょうか。この映画でも、本木雅弘氏が演じる主人公が納棺師（故人様のご遺体をお化粧や着替えなどできれいに清めて整えお棺に納める仕事）という仕事に就いた際、妻や友人から「もっとマシな仕事をしろ」「汚らわしい仕事はやめて」「触らないで！汚らわしい！」と、周囲からの偏見に晒されてしまいます。


「死」「遺体」といった事柄にはどうしても「穢れ」のイメージを抱いてしまう方がいることは、日本人の宗教観もありなかなか避けられないですよね。 しかし、生き物にとって死は平等に必ず与えられるものであり、悪いものではありません。

「死＝穢れ」という考え方も、浄土真宗など一部仏教の宗派やキリスト教では否定されており、人それぞれの宗教観や先入観によるものが大きいです。むしろそういった「穢れ」というイメージがあるからこそ、葬儀屋は死を悼み、ご遺族様の不安を取り去って安心して故人様を見送ることが出来るよう「正しい葬送についてお伝えする」という社会的意義のある役割があると考えています。

葬儀業界で約６年働いた私の経験から、葬儀屋は「高度な専門サービス業」「究極のサービス業」であり、やりがいと誇りを持って従事できるお仕事だと自信をもってお伝えできます。

実際に葬祭ジョブでも「ご遺族様から感謝の言葉をいただけた時、この仕事に対する誇りと自信があふれ、活力となります」「絶対にこの世界になくてはならない尊い仕事」「葬儀の仕事を続ければ続けるほどより良い葬儀のために成長意欲を持って働ける」など、ポジティブな気持ちで葬儀屋に従事している業界経験者の方の声が多数集まっています。

残念ながら「葬儀屋は悪いイメージがあるからやめとけ」と言われることもまだありますが、実際は社会的意義が高く、「死」に携わるからこそ感じられる尊厳を大切に、やりがいを持って働けるお仕事です。

葬儀屋は、未経験者や無資格者が挑戦できること、学歴不問な求人が多い業界であることから「年収が低い」というイメージを持たれることもあります。


今回、2023年に「葬祭ジョブ」で内定をもらった方の「初年度想定年収」の平均を算出しました。（葬祭ディレクター職・正社員）
結果は386万1,609円
こちらは残業代や葬儀屋の給与として一般的な「夜間対応手当、夜間対応残業手当」や「担当インセンティブ」を抜いた額です。
また、厚生労働省の令和４年賃金構造基本統計調査において、冠婚葬祭業が属する「生活関連サービス業」の平均年収は362万900円。約24万円もの差があります。

サービス業の平均年収と比べて約24万円年収が高く、さらに夜間対応手当や売り上げに応じたインセンティブが期待できると考えると、決して年収の低い業界ではありませんよね。
詳しくは以下の記事で説明いたします。

葬儀屋の給料の詳細はこちら

葬儀屋は死を取り扱う職業であることや勤務形態などから「やめとけ」と言われることもありますが、一生に一度である葬儀のために働きご遺族様に感謝されるやりがいのある仕事です。
大変な仕事だからこそ、ご遺族様からいただける感謝の言葉や一つの葬儀を終えたときの達成感はかけがえのないものであると、実際に葬儀屋で6年間勤務して実感しています。

現在私は、葬祭業界専門の転職エージェント「葬祭ジョブ」のキャリアアドバイザーとして葬儀屋に興味のある方々の転職活動をサポートしています。そして皆さんが活き活きと働かれている声を間近で聞き、この素晴らしい葬儀のお仕事を担う人材が活躍する未来作りに貢献したいと考えています。

この記事が「葬儀屋に興味があるけどやめとけという意見があり不安…」「実際に働いている人の声が聞きたい」といった方の安心材料となれば嬉しいです。

現代は「多死社会」と呼ばれ葬儀の需要が最も高まっています。無資格・未経験でも挑戦しやすい葬儀業界に就職・転職を考えている方は、葬儀業界専門の転職エージェント「葬祭ジョブ」が完全無料であなたの「働きたい！」をサポートします。
まずはどんな求人があるのか、葬祭ジョブをチェックしてみましょう。

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監修

藤井安奈

●葬祭業界専門転職サイト「葬祭ジョブ」キャリアアドバイザー
●厚生労働省認定葬祭ディレクター技能審査　2級葬祭ディレクター
●全日本冠婚葬祭互助協会　募集資格者教育責任者

大手互助会系葬儀社、地域密着型葬儀社にて葬祭ディレクターとして勤務。
身寄りのない方から大型社葬まで数々のお葬式を担当。
葬祭ジョブではキャリアアドバイザーとして、業界経験を問わず、葬祭ディレクターや納棺師、エンバーマーなど様々な職種の転職をサポート。

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